『ネクスト・ロック・ゲート』
非・お通夜公演
掲載:2016/7/26 10:45
チームの垣根を越えて、と言えば聞こえが良いけど、悪い言い方をすれば「寄せ集め」です。
同じ「寄せ集め」なら人気メンバーを寄せ集めたUSJの『やりすぎサマー シアター・LIVE』だろうという世間の認識は正しい。こうした場合、攻性を備えた「選抜」という言い方が採用されたりもします。
しかし――
AKB48劇場は、USJの『やりすぎサマー シアター・LIVE』選抜と、舞台『マジすか学園』~Lost In The SuperMarket~にあぶれた寄せ集めで、『僕の太陽』リバイバル公演をしているという認識は違うと思います。
だって、この公演でフィーチャーされているのは、久保怜音たちドラフト2期生だもの。
実際、舞台出演の都合でこの公演に出れない岡田奈々など、モバメで悔しがってました。なぁちゃんにとって『僕の太陽』はデビュー公演だし、色々と思い入れがあるんだろうね。
それを言うなら、阿部マリア / 島田晴香 / 中村麻里子 / 竹内美宥ら、初代チーム4(今のチーム4と、つながりはありません)のメンバーにとってもこの公演は1st ステージだし、ドラフト2期生を後ろで支える中堅メンバーそれぞれが色んな思いを抱えてステージに立っているのでしょう。
とりあえず、現役中高生のドラフト2期がアカペラで、♪チャイム鳴ったら 学校飛び出し レッスン場に通い続けて 憧れのスター目指す = M1『Dreamin’ girls』はハマリすぎ。で、着ている制服のジャケットを脱ぎ捨てて、アイドルチューンのM2『RUN RUN RUN』に突入して行くんですが、もうこの辺りで観に来て良かったと思いましたわ。
♪走ーれ 私 全速力で、は可愛すぎやろー。阿部マリアや藤田那奈、ダンス巧者に可愛がられている久保怜音は、きっとこの先も伸びる。
伸びると言えば、チームB・ドラフト研究生の高橋希良もいい感じに伸びてるねえ。キャッチフレーズで、ステージ上手から下手に駆け抜けながらの「きらりんビーーム!」は、まほほん(NGT48・山口真帆)の魔法なみに痛い。ギャバンからレーザーZビームを食らったダブルモンスターの気持ちが分かったわ。
チーム4・ドラフト研究生の千葉恵里は今日が初日。MCでは第2回ドラフト会議で島田晴香がえりいを欲しがっていたものの、えりいは「K」のイメージではなかったために断念。チームBが指名しないものかと願っていたところ、4が一巡目で指名したので大喜び。今日も「そんなんで公演に出る気? ダメじゃない」とヘアメイクで甲斐甲斐しく世話を焼いていたという裏話が語られました。もう、お母さんだな、島田さんは……。
今日は出演じゃなかった阿部マリアも、M6『僕とジュリエットとジェットコースター』で高橋希良の保護者のように踊っていたけど、こうした人間関係はメディア選抜では出ない部分。劇場公演の魅力だと思う。
うん、見どころは、さとぴーとゆいりーだけじゃなかったわ。
当選チケット / 集合写真
その、ゆいりーはと言うと、丸くて小動物的な顔立ちがシャープな美人系に変わっており、ちょっと驚いた。
加入5年目でも印象って変わるものなんだね。てか、前に見てから半年経ってねえー。
ちなみに、お題の件――
『僕の太陽』公演は、2007年、チームAとKのシャッフルチーム・ひまわり組によるものが初演です。
ひまわり組は、ファンを含めてあまりにも対立構造になってしまったチームAとKの関係を修復するための融和策というのが公式発表ですが、その編成には誰が見ても明らかな偏りがありました。
1st チームに、秋元才加 / 板野友美 / 大島優子 / 小嶋陽菜 / 篠田麻里子 / 高橋みなみ / 前田敦子 / 峯岸みなみ / 宮澤佐江といった人気メンバーが集中している――。
運営は融和策の名を借りて、グループ結成当初の構想だった1軍・2軍制を復活させたに違いないと勘繰るファンが多かったと聞きますし、バチバチしてたはずのメンバー同士がにこやかに同じステージに立っていちゃ毒気も抜けるでしょう。
当時のDVDを観て言えるのは、人気メンバーが集中し、華やかな1st チームのステージとは裏腹に、客席は静かだったということ。その結果、ついた別称が「お通夜公演」――。
なぜこんな空気が劇場を支配したのか、本当のところは自分に分かりません。自分がAKB48というアイドルグループの存在を知るのは、この年の年末、NHKの紅白歌合戦でのことですから。
まっ、現在『僕の太陽』はそんな別称があったとは思えないくらい人気の高いセットリストで、今日も盛り上がったんですけどね。
USJを観た人も、こちらを観て損はありません。初見のファンが応募を出せば、多分、入れるのではないかと――?