『ネクスト・ロック・ゲート』
アインシュタインよりディアナ・アグロン
掲載:2016/6/27 07:50
お題はHKT48・7thシングル『74億分の1の君へ』のカップリング曲なのだが、今年の春ごろ、この曲の詞が「海外ドラマ『glee』を侮辱している」「女性蔑視だ」とネット上で騒がれ大炎上した。
アインシュタインを知らない人はいないだろう。ディアナ・アグロンは世界中で大ヒットしたという青春ミュージカルドラマ『glee』の登場人物を演じた女優である。
その名前を冠した楽曲の詞に「難しいことは何も考えない 頭からっぽでいい」「女の子は可愛くなきゃね 学生時代はおバカでいい」といったフレーズが並び、「スカートをひらひらとさせて グリーのように」で締められちゃドラマのファンとしてはカチンと来る部分があって当然でしょう。
平たく言うと、女の子は知性や教養(アインシュタイン)よりルックス(ディアナ・アグロン)が大事と考えている子が、その心情を吐露する楽曲なのだから――。
しかし!!
単純に「女性蔑視だ」と批判する人はどうかと思う。いくら批判しても「女の子はアインシュタインよりディアナ・アグロン」と考えて生きている女性がいるのは事実だし、男の自分としては、自分より頭が良くて会うたびに劣等感を植え付けられるような女性とはつき合いたくない。
そんな女性とつき合いたい人っています?
ストレス溜まるよー。サラリーマンでストレスゼロなんて人は珍しいから、会社でストレス溜めて、休日もストレス……間違いなく、過労で倒れるわ。
要するに事実を提示されたからってキレてんじゃねえよって話。大切なのはそこじゃないだろう。「女の子はアインシュタインよりディアナ・アグロン」と考えて生きている女性と、そうした女性を好む男性がいる世の中で自分はどうあるべきかを考えることなんじゃないか――?
この業界も、また然り。
自分は業界が発展のために射幸性の向上に舵を切ったことを間違いだったと思ってません。間違えたのは、その展開と運用です。
節度無くメーカーは射幸性の高い遊技機を製造したし、ホールはそれを使って客から好き放題にむしり取った。遊技にのめり込んで「依存症」と呼ばれるようになった客に対するケアや、そうした危険な側面のある遊技であるという啓蒙もロクにしていない。
そもそも、この業界が射幸性の向上に舵を切ったのはインベーダーゲームが大流行した時代なんだよな。遊技の勝敗による結果が、より色濃く金銭に反映されるゲーム性を打ち出しすことで生き残りを図ったわけだ。それが成功したのはご存知の通り。
ホントねえ、射幸性の高い遊技機が発売され、ホールに客が押し寄せるたびに規制して来た警察庁が「客が減っているのは射幸性が高いからだ」と取り締まるロジックを反転させて来た尻馬に乗って、「射幸性の向上に舵を切ったのが間違いだった」という業界人は歴史知ってんのかと言いたくなる。
おそらく、認めたくないんだろうねえ。射幸性の高い遊技機の展開と運用に節度と良心がなかった――つまり、「自分たちがクソ野郎だったんです」なんてことは。
おーい、今の敵はインベーダーゲームより手強いぞー。事実から目を逸らして勝てる相手じゃないだろ? そんなんじゃ団塊の世代が鬼籍に入る10年後で業界はおしまいだわ。
ついでに言うと、警察庁保安課・課長の小柳さんがやろうとしていることもよく分からない。射幸性が高い遊技を好む人がいる――これが動かない事実。射幸性の高い遊技機を規制したところで、射幸性が高い遊技を好む人がいなくなるわけではない。
射幸性が高い遊技を好む人は、それが規制されたら、射幸性の高い遊技を提供してくれる場所に移動するだけだろう。いわゆる「闇スロ店」だな。
半年ほど前、福島も商業都市で摘発があったが、昨年あたりから闇スロ店摘発という報道が多くなっている。規制を強めるということは、内需産業を圧迫し、そこに反社会的勢力が介入する隙間を作り、賭博罪で裁かれる出さなくてもいい犯罪者を作るだけだ。
闇スロ店は無くならないよ。摘発されることを前提に店長以下のスタッフを配して運営されているんだもの。切っても、切っても、トカゲの尻尾のように生えて来る。
パチンコ業界にある程度の射幸性を認め、その収益から「依存症」に対して今より実効力のある施策・啓蒙活動を行う業界団体の設立を促すべきじゃないだろうか? そして、合法的に射幸心を充たせる施設があるなら、人はわざわざ違法な施設になど出入りしないものだ。
事実と向き合って考えようとしない人が増えたから、今の時代は住みにくいんだと思う。