『ネクスト・ロック・ゲート』
マルドゥック・アノニマス
掲載:2016/4/7 11:25
日本SFの金字塔、マルドゥック・シリーズ10年ぶりの完全新作です。
早川書房刊 @740円
シリーズ1作目『マルドゥック・スクランブル』で描かれたのは、少女娼婦ルーン・バロットの再生。その前日譚である2作目『マルドゥック・ヴェロシティ』で描かれたのは、青年軍人デムズデイル・ボイルドの虚無への失墜。
そして、シリーズ3作目『マルドゥック・アノニマス』で描かれるのは、ネズミの姿をした万能兵器ウフコック・ペンティーノの死――。
これは一匹のネズミがその生をまっとうし、価値ある死を獲得する物語である。
――冲方丁(あとがきより)
禁じられた科学技術の産物ゆえ、自らの有用性を証明するため戦い続けたウフコックに、ついに「死」が訪れます。しかし、その死は価値あるものだという。
もし、この作品を読んでみようと思っているならここで記事を閉じてください。ここから先は作品の「主題」にかかわる部分を書きます。
舞台は『マルドゥック・スクランブル』から2年後のマルドゥック市。馴染みの弁護士サムから企業の内部告発者ケネス・C・Oの保護を頼まれたウフコックたちイースターズ・オフィスは都市の新勢力<クインテット>と邂逅する。
ただ巨大訴訟 = 大もうけの可能性があるだけだった事件の変貌――。
重病か重傷を負った人間を非合法に強化(エンハンス)する謎の医師<ドクター・ホィール>。強化され定期的な身体のメンテナンスが必要になったエンハンサーたちに、5つの悪行(暗殺 / 脅迫 / 誘拐 / 拷問 / 監禁)を強要する<ファンド・マネージャー>。マルドゥック市のアンダーグラウンドに地殻変動を起こそうとしている何者かがいる。
<クインテット>はギャングのマディソン・ファミリーが仕切る予定だったエンハンサー集団である。しかし、3頭の犬を連れた男 = ハンターの出現と共に暴走状態になっている。そして、<クインテット>を暴走させたハンターが武器とする能力は「共感」――。
この武器はとても性質(タチ)が悪い。これを含んだ言葉を耳元で囁かれたら、大抵の人間が進むべき道を誤ってしまう。特に「他者と比べて上手く生きることが幸せだと考えている人間」の囁きに共感したら、そいつの食い物になるだけだろう。
この業界、他者と比べて上手く生きることが幸せだと考えている人間だらけだよ。冷静になって、それが「誰得」なのか考えてくれ。
取材に来るライターは、自身の業務がいかに過酷で、自身がいかに献身的かを訴えるが、客に還元する予算はライターのポケットマネーじゃないからね。奴らは店からギャラをもらって集客に協力してるだけ。
継続的――これは程度によるが、例えば毎週末ごとにライターやパチタレが来店する、すなわち毎週末ごと奴らにギャラを支払っているホールが出せるわけないだろうが。継続してギャラが入って来て喜んでるのは誰よ?
前ログでホールに「出すな」みたいなことを書いておいて矛盾しているように感じるだろうが、自分が言っているのは不良客だけが喜ぶような無駄な放出をするな。一般客ですらボッタくられてると感じる極端な回収をヤメてくれ。つまり、少しでも客が運勝ちしやすい善意的な営業をしてくれということだ。
負けてばかりでパチンコが楽しいなんてことはありえない。勝ったり負けたりだからパチンコは楽しいのだと思う。自分は少しでも一般のユーザーが勝つ機会を増やしパチンコが楽しいと思ってもらいたいから、店バレ上等で記事を書くし、遊技台の釘やスペックの解説と共に使っている技術も公開する。
善い人だなんて思ってもらう必要はないぞ。我々害虫はホールの客の食物連鎖の頂点に位置する生き物である。その頂点が今まで培ったノウハウを公開せず、自分さえ良ければいいというスタンスで行動していたら食物連鎖の底辺に新規参入して来る生き物がいなくなってしまう。やがて食物連鎖ピラミッドの頂点は低くなり、最後は害虫同士の食い合いで終わるだろう。
だから、これは自分のためにやっていることでもある。そして、これが自分の有用性かな、と?
遊技台のスペックや値札(期待値)が見れる者として良いものは良いと言いたいが、しょうもないものをワッショイワッショイ持ち上げることで証明する有用性などゴメンです。
てなわけでねえ、先日10年ぶりに出たマルドゥック・シリーズの最新作は、自らの有用性を証明するために戦うネズミが「共感」を武器とする敵と対峙して「死」を迎える物語だってのは、一体どんなタイミングだと思ったんですよ。
ああ、尊敬できるライターってのに会ってみたいね。「すっかり汚れちまって……」とため息をつきたくなる年寄りと、まさか自分が言われているとは思ってもいないバカ。「こいつが死んだら100%地獄行きだわ」と言いたくなる人間のクズばっかり。
警察庁は法や規則と照らし合わせて業界に逸脱した行為や状況がないか監督する官庁であって、パチンコという産業が今後も末永く続くよう運営する官庁ではないのだよ。自分の生活、すなわち業界を守りたいと思うなら、業界から恩恵を受けている人間一人一人が存続のために尽力するしかないのだがね――。
自分のことしか考えられない奴は本当に死んだ方がいい。先進国に生まれながらも衣・食・住がようやく足りている人間なみに精神性が低く、欲求段階説で言えば3段階を抜けてようやく4段階目に手が届いたぐらいのあさましい奴だもの。
最後に、アノニマスとは「匿名」のことである。
ホールからギャラを貰いながらパチンコを打って「こんだけ出た、こんなに勝った。楽しい、楽しい♪」と言ってる奴って、業界メディアの後ろ盾を得て「匿名」であることをやめたサクラのことなんじゃないか――?