『ネクスト・ロック・ゲート』
10年待ったものに思う
掲載:2015/8/10 11:50
ついに発売。10年待ったああーっ。
『ファイブスター物語』13巻
「映画を作るから」と突然連載が止まり、それから7年後の2012年末、出来上がった映画『花の詩女 ゴティックメード』を観た際にはぶっ飛んだ。
雨のシーンですんごい細かい雨粒の一つ一つまでもが手描きなんだもの……アホですか、永野先生ーっ!
ともあれ、2013年の連載再開から2014年の単行本作業のための休載を経て、ようやく、ようやくの13巻発売ですよ。
まあ、この話は凄いです。1980年代に放送されたアニメ『重戦機エルガイム』の語り直しであり、「これが真のエルガイム」なんてノリもあったはずなんですが、始まってみるといつまで経っても『重戦機エルガイム』の年代(これが『ファイブスター物語』の第2部にあたる)にたどり着かず、度重なる設定変更でついて行くのが大変。特に連載再開以降は主役ロボットがモーターヘッドから映画『花の詩女 ゴティックメード』のゴティックメードにそっくり入れ替わっており、もう何じゃこりゃですよ。
「今までのモーターヘッドとかいうロボットはなーし! 元々、ゴティックメードというロボットだったという設定でよろしくね」と、そういう事です。
こういう事があるたび、ファンは「また設定変えおったーっ」と頭を抱えながら、新たな設定を頭に入れて話について行くんですが、なんか遊技規則改正のたびに「吸い込み方式ダメか、集中役ダメか、ストックもダメ、ATでコイン増やすのもダメえーっ!?」と頭を抱えながらついて行くパチスロに似てるなと思ったり……。
こういうのって悪い事じゃないんですけどね。『ファイブスター物語』は30年描き続けられている漫画ですが、自分みたいに昔から読んでる人間が「モーターヘッドとはイレーザーシステムという外燃機関を持って駆動する究極の人型戦闘兵器でな……」なんて話をしても、最近の読者からは「はあ、旧設定ではそうみたいですね」ぐらいの反応しか引き出せません。要するに、新規が古参に引きずられることなく今を楽しむ事ができます。
いやー、何つーかよお、40ヅラ下げたおっさんがリメイク台の前でキャッキャ、キャッキャ! 騒いでるのは醜悪なんだわ。「楽しいからおいでよ」と言われても、こんな中に入って行くのはよほど勇気のある若者か変態だと思うぜ。この業界は、自分たちばかり楽しもうとするクソッタレな年寄り猿が集まる「村社会」だもんな。
ごめんね、オレ、この業界で好きな奴あんまりいないから毒ばっかり出て来るわ。
ちなみに、映画『花の詩女 ゴティックメード』は公開から2年が過ぎてもパッケージ化されておりません。作者・永野護曰く。
「映画館で観るように作ったものなんだから、映画館で観てください」
どーせ、半年もすりゃBlu-ray出るんだろ、なんて思っていた自分は後悔する事しきりです。1回しか観ていねえーっ! 東北の映画館ではリバイバル上映しねえーっ!
すぐに作品がパッケージ化してレンタル屋の店頭に並ぶってのも映画産業が斜陽化する一因だと思います。
もしや、攻略誌に付属する実践DVDには、ホールに足を運ばずともユーザーを満足させてる側面があったりしませんか――?
矮小に閉じたこの業界を活性化させるヒントは、過去ではなく他の業界にある気がします。