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【ザッシュ】
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『ネクスト・ロック・ゲート』
だって、客は増えてるんだもの
掲載:2015/7/20 08:45

今年もレジャー白書が発行される時期がやって来ました。

4月にグローバルアミューズメントが発表したパチンコ・パチスロ参加人口調査では「増加」という結果が出ておりましたが、『レジャー白書 2015』においても参加人口は「増加」
具体的には1,150万人で、1,000万人割れが大きく報じられた前年より180万人の回復です。その一方で貸玉金額の総額を示す市場規模は前年より約2%縮小しております。一客が遊技に消費する金額には減少の傾向が伺えるという事ですね。

これは業界が目指すべき方向に対し忠実な結果が出ていると言えますが、個人的に気になるのは、グローバルアミューズメントが指摘する、過去に遊技経験があり今後も機会があれば遊技したいと考える休眠層・ご無沙汰ユーザーの減少 = パチンコ・パチスロから距離を置く層からは嫌われたという事です。

一客が遊技に消費する金額には減少の傾向が伺えると言えばライトユーザーの増加と受け取れますが、単純にヘビーユーザーの財布の紐が堅くなった、あるいは低貸へ移行するなど賢くなっただけの話であれば楽観視できる状況ではないでしょう。

とりあえず、一回の遊技で消費する金額が少なければライトユーザーとか、そんな分類はバカげていると自分は思います。たとえ一回の遊技での消費金額が4~5万円であっても、お盆や正月、給料日直後やボーナスシーズンにだけ遊びに来てくれるような、いわゆる業界からちょっと距離を置いて接しているユーザーこそライトユーザーと呼ぶべきでしょう。そして、そうしたユーザーが増えてこそ、この業界は囲い込んだヘビーユーザー中心に回るマニアックな業界から脱却し、普遍性を取り戻したと言えるのではないでしょうか?

業界から距離を置いて接しているユーザーの印象を悪くし、置いていた距離をさらに開かせているものは何だろう――?

「とにかく印象が悪い。業界の印象回復のため、メディア戦略を一本化しよう」なんて提言が、今年の春先、盛んに討論されていた業界活性化案の中にあったんですが、悪いのは印象だけかと言いたくなります。

自分としては、昨年の発売直後に散々叩きまくった、三洋のまわるんパチンコ大海物語3が代表例ですね。21.2G/1k回しても16.3G/1kのスーパー海物語in沖縄3HMEと同じ利益を確保できる機械を「遊べる台」と業界を挙げて宣伝した事は詐欺的だし反吐が出ます。

考えてみるといい。他の業種で、決して買い得とは言えない商品を「買い得」と謳って消費者に売りつけたら、それを買った後で気づいた消費者は二度とその販売店に戻って来ないだろう。負担していただく遊技料金の高騰が客離れの原因と分析するなら、何故真っ直ぐに控除率を抑えようとしないのか? 控除率を抑える = 還元率を高めるという事です。悪いのは実状であって、印象は世間が受け取った通りなんじゃないのか――?

ちなみに、「全国一斉に低換金率化」という提言もまわるんパチンコ大海物語3と同じです。いくら回せても、出した出玉を賞品に交換する際にガツッと控除してしまっては客が負担する遊技料金に変化はありません。Sn=a÷(1-r)で何度か解説した通り、ホール企業が現状の控除率を見直さない限り、換金率を下げようが、メーカーがどんな機械を作ろうが、エンドユーザーが「遊べる」と感じる日は来ないのです。

参考までに、今回の『レジャー白書 2015』ではパチンコ・パチスロの市場規模に関して、過去に遡り修正が入りました。2013年が25兆50億円、2014年は24兆5,040億円です。そして、『DK-SIS白書』によると業界総粗利は2013年が3兆6,300億円、2014年が3兆5,000億円になります。2014年を例に還元率を計算すると、(24兆5,040億円-3兆5,000億円)÷24兆5,040億円=85.7% 2013年は85.4%です。

ホールの還元率は85%という一般論は正しい。そして、小数点以下ながら還元率は向上しております。ただ、市場規模が30兆円あった当時の還元率は90%と言われておりましたし、それを考えると85%という還元率で客に「遊べる感」を与えるのは無理なんじゃないでしょうか?

また、日本で一番店舗数が多い大手の決算報告から還元率を計算してみたんですが、何と、この大手ホール企業の還元率は81.3%(!!)と業界平均を大きく下回ってるんですよ。

やはり、ホールに「客の事を考えろ」という方も考えねばなりませんよね? 自地区で言えば、NO店や別格に優良なO店wのように平均以上の還元率で営業する優良店があるというのに、何故に業界全体の還元率を引き下げてるボッタ店に行く必要があるのか?
現在、「還元率を上げるなんて、それは儲かってからの話」と考えているホール企業は、今後、客量が増え続けたとしても還元率を上げる事はないでしょう。その時は「だって、客は増えてるんだもの。還元率を上げて、もうけを減らすなんてバカでしょ?」という理屈になるはずです。

では、どこが平均以上の還元率で営業する優良店なのか――?

それは、過去ログで当サイト記載のトータル確率の利用法などを解説しましたが、それらの記事で述べたように、ユーザー自身が理論上勝てる台を打つ事にこだわって行動してもらわねば分かりません。通っている店の回転率がボーダー以下なら15分商圏内で構わないので、せめて違う店に行って回転率を比較し、少しでもマシな方で打つぐらいの事をしてください。そして、仕事の休憩時間やオフの日に「パチンコ・パチスロって楽しい」と言って欲しいです。

様々な慈善・公益事業に協賛したり、ライターやタレントに「楽しい、楽しい」言わせても胡散臭いだけ。現場からそうした声が上がり、広がって行かねばならないと自分は思います。
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