『ネクスト・ロック・ゲート』
依存症になると脳が変わる!?
掲載:2015/3/23 08:20
ギャンブル依存症患者の脳は健常者と異なっている。依存症になると脳が変わるのだ。
それを知ったのは、ごく最近の事。ホール団体の1つ余暇環境整備推進協議会(余暇進)が3月度定例部会のレポートで、依存・のめり込み問題について出席した85名全員で考察したことを報告したため、かねてより確認せねばと思っていたNHK ONLINE・クローズアップ現代のHPを調べてみました。昨年、11月17日に放送されたという『“ギャンブル依存症”明らかになる病の実態』です。
そして、そこに書かれていたのが冒頭の一文の内容――。
「あの音と光で脳をやられて……」なんて言葉は反パチンコ派がパチンコユーザーを中傷するセリフだと思っていたのに、本当に脳に影響が出ているというCTスキャン画像を交えた精神科医の話は衝撃的でした。
ただし、脳を変えてしまうのは音と光の刺激ではなく、ギャンブルという行為そのものです。ギャンブルで勝った体験が強烈に脳の記憶に刻印され、繰り返しその刺激を求めて行くうちに他の娯楽やゲームでの快感があまり感じられなくなって、そうしたギャンブルにのみ特異的に反応するような脳の機能変化が起きてしまうらしい――。
使ってはいけないお金を持ち出してパチンコをやって、たくさんの借金を作って帰ってくる。それがダメだと言って、立ち直ると約束しても、まだ陰で隠れてやっている。あげくの果てに他の人の玉にまで手をつけようとする。
ここまで来れば重症で、明らかに異常な行動なのに本人には異常な事だと分からない。そうした本人の行動に振り回される家族は精神的に疲弊し、パニック障害、強迫性障害なんていう病気を持つ場合も出て来る――いわゆる家庭崩壊です。
「依存症」という言葉はパチンコユーザーが自虐を込めて使う場合があるし、本人の意思の問題とされがちですが、実際は治療されるべき精神疾患でした。
皆さんは大丈夫ですか? 以下の設問で4つ以上YESがあるなら「ギャンブル障害 = ギャンブル依存症」です。
速やかに該当する機関・リカバリーサポート・ネットワークか精神科医に連絡を取り、治療にあたるようにして下さい。
【ギャンブル障害チェックシート】
(出典 : アメリカ精神医学会「DSM-5」)
(1) 興奮を得たいがために、掛け金の額を増やして賭博をする。
(2) 賭博をするのを中断したり、または中止したりすると落ち着かなくなる、またはいらだつ。
(3) 賭博をするのを制限する、減らす、または中止するなどの努力を繰り返し成功しなかったことがある。
(4) しばしば賭博に心を奪われている。(例:次の賭けの計画を立てること、賭博をするための金銭を得る方法を考えること、を絶えず考えている)
(5) 苦痛の気分(例:無気力、罪悪感、不安、抑うつ)のときに、賭博をすることが多い。
(6) 賭博で金をすった後、別の日にそれを取り戻しに帰ってくることが多い。(失った金を深追いする)
(7) 賭博へののめり込みを隠すために、嘘をつく。
(8) 賭博のために、重要な人間関係、仕事、教育、または職業上の機会を危険にさらし、または失ったことがある。
(9) 賭博によって引き起こされた絶望的な経済状況を免れるために、他人に金を出してくれるよう頼む。
以上の設問で、自分にはYESが1件もありませんでした。我々専業者はギャンブルをしているわけではありませんから当然です。
ただ、今まで確率論を語ったり、普段の立ち回りを公開する事で、ユーザーの収支改善の役に立てればという思いでブログを書いて来ましたが、「勝つ経験」が脳に重大な変化を引き起こすおそれがあるという事実には考えさせられるものがありました。
「嗜癖(しへき)でたくあんになった脳みそは、二度と大根には戻らないと患者には言っている。それぐらい残る、脳の変化が。だから一生の闘い、治療と思った方がいい」という精神科医・森山成彬氏の言葉が重く感じられます。勝ち方を語るのは「悪」なのか――!?
パチンコにギャンブルとして向き合うにせよ、遊技として向き合うにせよ、収支表だけはつけて資金管理してくださいね。予算をオーバーしても、まだパチンコをしたくなるようなら依存症の兆候かと思います。※(9)の設問に該当。
MAXタイプやAT機に過度な傾倒を示すのは、問答無用で(1)でしょう。
「出目だ、演出だ。それを見るために採算度外視で打ちたくなる」なんて胡散臭い事を言う人は(7)に該当してませんか? 心にもない事を言って体裁を取り繕っても、蝕まれて行くのは他ならぬ自分の体(脳)です。ご自愛いただければ、と。
ともあれ、依存症対策として、強烈に勝った記憶が脳に刻印される事を防ぐために行われたのがAT機・MAXタイプ規制なんですね――そうした事も腑に落ちました。
現在、パチンコ業界で行われている様々な施策・規制はカジノ法案と、カジノ導入に伴い懸念される依存症問題と密接に絡み合っております。
朝日新聞が今国会でカジノ法案が再提出される可能性があるという報道をしましたし、今後も行政や業界団体の動向からは目が離せません。
あまり興味が無い話題とは思いますが、頭の隅にでも置いていただければ、不思議に思う規制の理由も見当がつくようになるのではないでしょうか?