『酒と涙と本とパチスロ』
神の創りし機械
掲載:2014/11/2 20:10
皆様もご存知のように、家族単位で農業を営んでいることの多い我が国では、「農業機械」というやつは欠かすことのできない重要なもの。
その中でも、特に影響が大きいと思うのは「田植え機」と「コンバイン」です。
田植えと稲刈りは今現在においても春と秋の一大事ですが、それらの登場以前は一大事などというレベルでなく、一族郎党を駆り出して行う重大時にして重労働であったわけであり、それを家族のみ、下手をすれば1人でも行えるようになった田植え機とコンバインは、農業においてはまさに「文明の利器」と呼ぶべき存在と言えましょう。
もうひとつ挙げるなら、私的には「トラクター」ですね。これ以前の「田おこし」は農耕馬の後ろに器具をつけて行っていたらしいですし、やつは前後の部分を色々と付け替えることができるので、色々な場面で役立ちますし。私が小さい頃の冬に、親父が庭に雪で滑り台を造ってくれたのも、確かトラクターを使ってだったと思います。
って、親父め、まーた新車買いやがったのか……。
まあ、自家用車あたりと違ってコイツは家業に役立つわけですから別に良いとも思いますが、うちの親父はとにかく新しもの好きでしてね。もし親父がパチ&スロを打つ人間だったら、例え回らなくても新台に大金叩くタイプの打ち手だったんじゃないかと思います。
さて、少し話が逸れましたけども、農機というのはとてつもなく便利な素晴らしいもの。
しかしですね、それらは少なくとも私が子供の頃には既にうちにありました。
もちろんその頃よりは進化していて、コンバインならかつては2人乗りで、1人が運転、もう1人は横に乗って刈り取った籾を袋に入れて、それをトラックの荷台に積んでいたのに、今は1人で刈り取って直接荷台にバズーカ状のブツでブチ込むことができる。田植え機は一度に植えられる数が大幅に増えて、スピードもまるで横歩きする沢蟹かと思うくらいに速くなりましたし、私の記憶にある最も古いトラクターは屋根がないものだったのに、上に載せた最新機もそれの前の従来機も屋根どころかキャビン付きでエアコンもオーディオも搭載しています。
ただ、それらは私が乗るものではなく、さらに言えば私は確かに農家の息子ですが、農業を生業としているわけでもなければ実家に住んでいるわけでもない。
つまり、子供の頃から現在まで農作業に携わっていてもそれは全て脇役としてだったので、私は農機の素晴らしさを「知って」はいても「体感する」ということはなかなか無かったのです。
もちろん、性能が良いほうが早く終わるわけではありますが、あまりにも性能が良すぎると、乗っている人は楽でも横で手伝う脇役の人間が凄い大変になる、なんてことも多々ありますゆえ。
しかし、とうとうこの私を、この脇役歴の長い私をも驚愕させる農機を見つける日がやってまいりました。
それが、
この『楽だ君』です。
これのどこが素晴らしいかと申しますと、過去のコラムでも触れましたように、先日まで私は「米を袋に詰めて出荷する」という作業に幾度か参加していました。
親父は米の具合を見たり機械を調整したりする監督役で、母が袋の口を縛る役。私はその袋を持っていって、崩れぬように荷台に積み上げる役。
慣れている人なら難しくないかもですが、私あたりだと30キロなんてなかなか持つ機会もないですから、結構しんどい作業でした。
そこで、この『楽だ君』ですよ。
口を縛った袋を上画像の丸い部分に置き、くるっと回して横にする。
すると……
ほら見てください、この素晴らしさ!!
カッコいい……楽だ君、超カッコいいよ!!
彼のおかげで、私は床から「オラァッ!!」とか奇声を挙げながら袋を持ち上げる必要がなくなるのです。
とは言いつつも彼も万能ではないので、そんな場面もあったっちゃああったのですが、正直に言いまして、彼の存在なくして私は役目を全て果たすことが難しかったのではとすら思います。
ありがとう、楽だ君。
俺はこの間まで君の存在を知らなかったけど、本当に素晴らしい機械だとよく分かったよ。君のことはずっと忘れないし、次があったらまたよろしく。
このように、この『楽だ君』は、私も皆様に胸を張ってオススメできる機械であり、さらに言えば、これは一家に一台有すべき神の創りし機械です。
さあ、ぜひ皆様のご家庭にも……って、この『楽だ君』は「米袋専用リフト」という恐ろしくニッチな名称を持つ農機ですので、必要なのは米農家のみ、しかも自分の家で乾燥から出荷までする農家にしか必要のないものですので、「そんな機械もあるんだぁ~へぇ~」とでも皆様に思っていただければ幸いです。
ちなみに、これの値段はうちが買った4~5年前の時点で大体5,000枚(等価交換)くらいだそうです。
私的にはそれくらいの価値のある働きをしてもらいましたので、もし今の楽だ君が壊れた際には私が新しい彼を購入したいと思います。
って、何故俺は農機についてアツく語っているのだろう……。まあこの間やっと全ての作業が終わったということでご容赦ください。
ということで、今日はこの辺で。
それでは、また~