『ネクスト・ロック・ゲート』
最も善意的なギャンブルと居場所をくれる業界
掲載:2014/10/14 11:35
前ログで、パチンコ業界の控除率を15%とすると、ギャンブルの中で善意的な部類に入ると書きましたが、最も善意的なギャンブルは何かと言うと、それはカジノです。
カジノのゲーム中、一番胴元の取り分が多いルーレットでも5.26%。しかも、これはウィールに「0」と「00」があるアメリカンルーレットの場合で、「00」が無いヨーロピアンルーレットの場合、2.7%になります。
そして、カードゲームになるとさらに控除率が低くなり、諸条件で変わる事はあるものの、バカラやブラックジャックでおおむね1%前後です。
でも、「よし、カジノができたらパチンコをヤメよう」と思った方――。
シンガポールをモデルに検討されている日本のカジノに入るには入場料がかかります。
シンガポールのカジノは100シンガポールドル――日本円で8,000円。日本のカジノは5,000円ぐらいが妥当という意見も出てますが、個人的には東京ディズニーランドと同程度の金額になるだろうと予想してます。
入場料5,000円としても、それプラス賭けた金額の1~5.26%が支払うべき遊興費って事ですね。
ちなみに、テーブルゲームのミニマムベットはカジノのグレードと訪問した時期によって異なり、ラスベガスの場合、5米ドル(500円)~25米ドル(2,500円)です。
マシンゲームだと1セント(1円)から賭ける事ができますが、入場料を支払ってミニマムベットを繰り返していても遊んだ気にはならないでしょう。
それなりの軍資金を準備して……という話になると、やはりパチンコの方が庶民の遊びだって気がします。
カジノ関連書籍
これらの書籍には勉強させていただきました。
ところで――
『次世代の党』がパチンコ換金禁止に向けて、風営法改正案の検討に入ったというニュースが入らなければ、AT・ART機規制の流れで書こうと思っていた事があるんですが、それはパチンコの客層の二極化です。
現在、4円パチンコは縮小がトレンドで遊技機全体の40%にまでシェアを落としています。
ここだけを捉えると、低貸コーナーが増大しホールの射幸性が下がったと言えますが、4円パチンコの機種構成を見ると、MAXタイプ32.3% / ミドル28.1% / ライトミドル14.6% / ライト20.3% / ミニマム1.8%――そう、ミドルはホールの主役スペックの座を追われ、今やMAXタイプがヒーローなのです。
ホールはお金の入りやすいスペックを好みます。
今後、多くのホールは失ってしまったAT・ART機の時間粗利970円を埋めるためにパチンコ増台に舵を切ると思うし、増台するスペックはMAXタイプで間違いないでしょう。
しかし、4円パチンコのシェアの40%近くをMAXタイプが占めるようになったら、今度はパチンコが規制の対象になるのではないかと……
もはや、どうでもいい話ですよね。
メイン基板移行後、AT・ART機はどんなものが作れるかとか、次はパチンコが規制対象になるんじゃないかとか、そんなもんどうだっていい。
換金できないのなら、モード式連チャン機が復活しようが、爆裂ATで時速5,000枚だろうが客が来ない事は、潰れてしまった政令指定都市・仙台駅前のスロゲーセンが証明してます。
つくづく、この業界の立っている足場は、はかなく脆いものだと気づかされました。
民間において賭博(カジノ)が合法化されるのなら、我々の換金行為も合法化できるはずだなんて議論を展開すれば、監督庁の警察が実質的な換金行為が行われている事を認めようとせず、だったら業態を変えてしまえ(換金禁止)という動きも出て来てしまう……。
賭博禁止の日本において、公営ギャンブルが合法的に存在している理由は、公の目的のもと、公が主体となって、公の監督を受けながら運営を行っている限り、総体として賭博事業の便益が害悪を上回ると解されているからです。
合法化したいのなら、パチンコ業界の便益が害悪を上回ると証明せねばならないという事でしょう。
他業種の合法化に便乗して成せる話ではなかったのだと思います。
この業界があまり業態を変えずに存続してくれればいいんですけどね……。
ここはロクでもない業界ですが、ロクでもない奴らに居場所をくれる業界でもあります。
自分みたいな社会不適合者ばかりではなく、売れないお笑い芸人や、20代後半に入り声がかからなくなったグラビアアイドル、一般のサラリーマンだって何らかの事情で職に追われた場合、この業界の門を叩けばとりあえずの仕事を得て再起を図る事ができます。常に求人がでてますから。
自分たちみたいな業界に甘えている人間が、もっと高い意識を持たなければ換金合法化への道は拓けないのだと思います、きっと――。