『酒と涙と本とパチスロ』
『ガード下』探訪記
掲載:2014/3/28 19:00
(…続き)
通りに出て、とりあえずあても無く歩いてみる私。
ふらふらしていると、「鰯料理」の大きな看板が私の目に止まりました。
青魚イーターの私ですから、もちろんイワシも大好物。
そこも1軒目と同じく立ち飲み屋のようで、近づいて看板周辺を見てみると、……鰯刺しが300円だと!?
確かにイワシは過去に「下魚」の代表格のような扱いをされていた魚ですが、現在ではそうでもなく、300円で旨いイワシの刺身を出すような店など、私の記憶を辿ってもなかなか無い。
しかし、日本海に育てられたこの私が、魚について都会に遅れを取る理由などあるはずもありません。
よろしい、大都会の魚の実力とやらを、とくと見せて頂きましょう。
[2軒目]
開け放してある入り口は1軒目と同じ。
店内は、L字形のカウンターと奥に小さな一列のカウンター。
入っても、10人そこそこといった感じでしょうか。
中心部には、この道数十年といった雰囲気の店主らしき人がいて、小さい店ながらも味には期待出来そうな空気がありありでした。
先の失敗も考慮して、自らの内に問うこと数秒間。
こういった店に来たのならやはり看板の「鰯刺し」を頼むべき、そして鰯刺しならば当然酒を頼むべき。
考えるまでもない結論を一応ながら反芻して、厳かに注文を済ませました。
そして来たるはこの勇姿。
うむ、全てがピンと立っていて、見ているだけでも気持ちが良いですね。
で、このイワシがまた旨い。
時期もありますゆえ、脂のノリこそ過去最上とまでは言えませんでしたけど、生臭さの一片も無く、歯応えも青魚らしく上々。
もちろん、酒との相性も最高でした。
ところで、こういったカウンター席で飲んでいると、隣の人の食べ物がちょいと気になったりすること、皆様にはありませんでしょうか?
この時の隣人が頼んでいたのは「あんきも」、お値段は驚くべきことに350円。
正直に申し上げまして、私の経験上ながら、安いアンキモでまともな品というのは非常に珍しいです。
しかし、先の鰯刺しのデキ、また、チラと見えた隣席の様子からは、とても良さげな案配に思えました。
隣人が食べているものを注文するのは、やや気恥ずかしいような気がするかもですが、もちろん酒が入った私がそういったことを気にするはずなど無く。
ここで追加の酒とアンキモを頼むことにしました。
そして、このアンキモがまた旨く、鰯刺しと同様に過去最上のものとまではならずとも、350円とはとても思えぬ品。
この値段でこれだけのクオリティ、海育ちの私もこれには感服致しました。
なるほど、恐るべしは大都会、か……。
人が都会に集まる理由は、安くて旨い酒と肴があるからかもしれませんね。
[結果]
日本酒___2杯
鰯刺し___1品
あんきも_1品
計____1550円
ここを出たあたりで、時刻は17時半を少し過ぎた頃。
あたりも暗くなってきて、ガード下の飲み気も明るかった頃より幾分増してきたように見えました。
向かったのは、もちろん当初の目的店。
時間が経つと混み合うとのことでしたので、気持ち早足で向かいました。
[3軒目]
三度目の正直で入店に成功した私。
店内は一階がカウンターの立ち飲み、二階にテーブル席があるらしいとのこと。
まだ先客は二人でしたので、余裕を持ってカウンターに陣取ることが出来ました。
前例に従って、自分の内に訊ねること数秒。
ここは焼き鳥屋、ならば「ホッピー」か……と思うもホッピーは無し。酒……ではないような気がするし、ビールを多く飲む気分でもない。
よって、一発目の注文は「ビール小瓶」。そして、数量限定である目的物、「やげん」と「つる」を頼みました。
1軒目でビールを飲んで、さっきの2軒目では既に日本酒を入れていた私ですが、それでも場合によりけりで、いくらでもチャンポンが可能であることは、私の数少ない長所であると自身では思っております。
この店は先払いでしたので、注文した品のお金を払った後、心の内で自らに乾杯をしながらコップに注いだビールをグイッと。
待つことしばしで、目的のブツが届きました。
_____(左:つる、右:やげん)
ふむ、「やげん」は一軒目よりも骨ばった印象ですが、コリコリ感はこちらが上で、酒に合わせるには良い感じ。
そして、「つる」。
独特の癖というか、風味があって、これが実に旨い。
交互に飲っているとたちまちビールが無くなり、たまらず「燗酒」を注文。
そうこうしているうちに、前評判通りに店内が混み合ってきて、どんどん左へ詰めていくような形になっていきました。
こうなってくると、やはり長居はしづらいもの。
ただ、料理が無くなったのに酒はまだ半分程度も残っていましたから、何かもう一品欲しいところ。
少し寒くなってきていましたので、出来るだけ素早く出てくる温かいつまみを探してみました。
_____________________(続く…)