『スカイ・ロック・ゲート☆』
低貸営業をめぐる「店側の3 つの勘違い」
掲載:2014/3/26 11:10
今日も店回りはしたものの、1軒入っただけで馬鹿らしくなってしまいヤメちゃいました。
消費税増税まで、あと6日。
6日後に待つのは死刑執行か、はたまた解放か――?
まあねえ、古くからの読者さんなら分かると思いますが、自地区や商業都市の状況が厳しくなったのは、かなり早い時期で、そうなってしまった理由はO店系列の寡占市場だったからなんですよね。
特定の系列が1つの地域を寡占化するというのは、その地域の玉粗利を自在に操作できるという事を意味します。
ぶっちゃけた言い方をすると、O店系列は客を網で囲い込んで、好きなようにボッタくってたわけです。
ところが、世は平成の大不況。
サラリーマンの皆さまが自由に使えるお金は年々少なくなって行きましたし、ホールの還元率も年々低くなるばかり。
Sn=a÷(1-r)ですからね。
50,000÷(1-0.9)=500,000
還元率90%であれば、月50,000円の小遣いを500,000円分の軍資金として運用出来るという事です。
45,000÷(1-0.85)=300,000
しかし、還元率85%、月小遣いが45,000円になってしまった場合、軍資金として運用出来るのは300,000円分――つまり、40%減!
お金が無くなれば、客はパチンコ屋に行く事など出来ません。
50,000円を500,000円分の軍資金として運用出来ていた時代には、1日の平均投資額を25,000円としても20日間もったものが、この状況では12日間しかもたないのですから、月半ば過ぎると、お金を使い果たしたユーザーの足はホールから遠のき、店内には閑古鳥が鳴くように……。
客がいないホールって、イメージ悪いと思います。
実際、客はヤラれて、お金がなくなってホールに行けなくなっているわけですし、イメージと実態がピタリと重なり、一部の例外店舗を除くと平日日中の4パチ・20スロはガラガラになってしまったというのは何度も書いた通りです。
出せば客が来るというものではないのかもしれませんが、出さなくても客が来ると解釈するのは間違いだって事でしょう。
また、小遣いが変わらなくても還元率が85%に下がれば、
50,000÷(1-0.85)=333,333……
333,333円分では、13.3日しかもちませんね。
遊技していられる時間が減れば満足度も下がります。同じ料金を払っているのに、盛りが悪くなった定食屋のようなものだと言えば分かりやすいですかね?
「サービス悪くなったんじゃないか、コノヤロウ!」
同じ量を食べたいならもっと金を出せと言われても、無い袖は振れません。パチンコ屋は庶民の財力を考えた商売をせねばならないって事でしょう。
――てな所で、お題の件・低貸営業の話に移りましょうか。
自分は「最近の機種スペックは厳しいから、規制を」みたいな論調の記事を見るたびに思うんですが、機種スペックが厳しいからお金がもたないって結論はものすごく短絡してると思います。
メーカーの販売戦略とライターの大先生の煽りで設備投資――新台入替にかかる経費が増大し、ホールの還元率が低下しているという問題が、機種スペックの問題に転嫁されてる面があるわけですよ。
そもそも、お金がもたないというなら、無理して4パチ・20スロを打たずに1パチ・5スロを打てば良いとも思う。
ともかく、自らの財力に見合わない勝負を繰り返した挙句、短絡した遠吠えを上げる一部のユーザー以外は低貸に流れ、全国的に低貸コーナーは増殖の一途というのが近年のホール状況でした。
ところが、自地区や商業都市では、2月以降、S店系列とO店系列を中心に低貸シマがどんどん縮小してます。
「4パチ・20スロはガラガラで、客がいるのは低貸……」とは書きましたが、せいぜい稼働率40%、夕方のピークで70%というところで、縮小しても低貸コーナーは台余り状態なのです。
これだけ需要が無くなれば、稼働率20~30%でも4パチ・20スロをやった方が良いわな……。
ちなみに、この件に関して調べてみた所、2010年に(株)エンタテインメントビジネス総合研究所が低貸ユーザーに対して行った意識調査から、「店側の3つの勘違い」を指摘してました。
「店側……」となってますが、これはエンタメ系ライターの大先生にも当てはまる事柄かと思います。
曰く、
(1) 多くの人のプレイ頻度が上昇するという勘違い。
(2) 勝ち負けを気にしないで遊んでいるという勘違い。
(3) 安い予算で遊びたいと考えているという勘違い。
何でも、低貸ユーザーの40.4%が最近1年間でパチンコをする頻度が減ったと答え、増えたとの回答は15.5%に止まったそうです。
また、勝負にこだわるとの回答は43.2%に達しており、低貸1回の平均遊技予算額12,400円に対して実際の使用金額は11,200円と予算額に届いていない事も分かりました。これは、打ち手が予算を使い切るほどの魅力を低貸に感じていない事を示唆する事例です。
4年も前に、こうした意識調査が公表されていたとは……。
もっとも、自分は5年前に、年々増加するライトユーザーの受付窓口と解説される低貸営業の実状は、最近の厳しい営業について行けずドロップアウトしたヘビーユーザーの受け皿に過ぎないと書いてるんですけどね。
毎年、低貸営業にドロップアウトしたヘビーユーザーの24.9%が遊技頻度を減らし続けたら、4パチ・20スロがガラガラになり、やがて低貸コーナーも台余りで縮小する事になるのは当然でしょう。
今年の全国的な動向をまとめた資料はまだ見当たらないんですが、今後の業界の動向は低貸コーナーの縮小になるかもしれませんね。
もし、そうなった場合、「最近の機種スペックは厳しいから、規制を」という論調が活発になるかもしれませんが、Sn=a÷(1-r)を思い出して下さい。
パチスロ交響詩篇エウレカセブン以前のパチスロコーナーがどうだったか考えれば分かるはずです。
還元率の問題を機種スペックの問題に転嫁したら、閑古鳥だった過去に戻るだけだよ……。
金が無い奴はAT機やMAXタイプを打つな、ノーマルタイプやライトミドルを打て――個々、あるいはその時々の財力に応じた機種スペックの選択がスタンダードな意識になれば良いのだと思います。