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【ザッシュ】
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『スカイ・ロック・ゲート☆』
ライター志望者は他人事じゃないよ
掲載:2014/2/10 10:00

先週の『仮面ライダー鎧武』で、「力そのものに善も悪もない。どう使うかでヒーローにも怪物にもなる」というフルーツパーラー『ドルーパーズ』のマスター・阪東のセリフがあったのだが、思わず「おおっ」となった直後に、やっぱり虚淵玄の脚本はクソだな、と思ってしまった。
 
マスター役の阪東を演じる弓削智久は、『仮面ライダー龍騎』で仮面ライダーゾルダ・北岡秀一弁護士の万能秘書・由良五郎を演じ、『仮面ライダーカブト』ではZECT総監・加賀美陸の腹心・三島正人を演じた俳優である。そして、その三島正人は物語終盤、加賀美陸を裏切り、ZECT総監の地位に納まると同時に、自らの肉体をワーム化させ、ラスボス・グリラスワームとなってしまったキャラクター。
彼はワームから人類を守るZECTという組織の中にいる内に、いつの間にか人類よりZECTという組織を守る事を優先するようになってしまっていたんだよな。 
 
平成ライダーシリーズにおいて、正義とそこから変節してしまうキャラクターを演じて来た弓削智久が言うセリフだけに、このセリフには重みがある。だが、いかにも計算して書いてますよって感じがムカつくのだ。
作中に過去の作品へのオマージュを散りばめたりもするし、やたらファンの共感を煽ろうとするのが気に入らん。
お前はライダーを書きたいのか、ライダーを語る共感の海の中で遊びたいのか、どっちだよ、と? 
 
とりあえず、某誌のインタビューで「『鎧武』はすでにラストシーンが決まっていて、そこから逆算して書いてます――」ってな事を語っていたので、虚淵玄の人物造形が甘い理由は分かった。シチュエーション優先でキャラクターを動かしてるんじゃ、人として不自然な行動も出るわな。
ただ、彼の作る話には先の読めなさみたいな魅力があって、着地点から逆算して書いてるくせに読めないのは凄いと思う。
虚淵玄の思考回路が自分と全然違うだけで、読める人には普通に読めたりするのかもしれないけどね。 
 
えー、仮面ライダーUNLIMITEDの液晶はNGのザッシュです。
これはダメ、絶対にダメ。スーツや筋肉の質感、アメコミ調の描写など無茶苦茶気に入りません。 
 
 
 
ライター志望者は他人事じゃないよ
こんなの、ライダーじゃねえっ!
 
 
 
「まーったく、オタって奴はよお」なんて声が聞こえて来そうだが、オタにこんな事を言わせる程度の機械しか作れないんだから、版権ファンをパチンコ・パチスロファンに取り込むなんて話は説得力の無い戯言だと思う。
メーカー的には、他の遊技機やゲームなどライダーは散々3DCG化されて来た版権だし、ちょっと新しい表現をしてみたいと思ったのかもしれないが、オタがライダーっぽくないと思った時点で、それはパチスロファンのための機械。ホールでの扱いはもちろん、出玉性能的にもパチスロファンが納得出来るものが無ければ人気機種になどならないでしょう。
 
ちなみに、こうした版権物でよく指摘される「楽曲がオリジナルと違う。TV放送時の主題歌にして欲しかった」という問題。
今のアニメや特撮作品って、OPの最後に「○○制作委員会」ってクレジットされるでしょ? 制作委員会方式というのは各種権利ビジネスを円滑に進めるために考案された制作体制なんだけど、パチンコ・パチスロ化された際に搭載楽曲がオリジナルと異なる版権って80年代以前の作品ばかりなんだわ。
制作委員会方式が一般的になったのは90年代に入ってからだからね。それ以前の作品だと、作品自体の版権は落とせたけど主題歌の権利者が不明だったり、著作権は作詞者や作曲者が持っていたりで使えないという事態に至ってるのではないかと思う。 
 
でも、古い版権の楽曲を探して聴いてみたら、アレンジが古すぎて微妙な気分になってしまった事もあるので、楽曲が差し替えられる事は必ずしもマイナスではないよね? パチスロ ゼーガペインのように、主題歌がしっとりしすぎてるため、あえてパチスロの世界観に合った楽曲を新規発注した意欲作だってある事だし。
まあ、ぱちんこ仮面ライダーV3のハリケーンモード中の楽曲は ♪V3のマシン ハリケン ハ~リケ~ン だろうが! と思ったけどさ。 
 
それにしても今回の記事は凄いな、何となく思っていた着地点にかすりもしない。
平成ライダーから話を振って、『仮面ライダーアギト』『仮面ライダーキバ』でメインライターを務め、『仮面ライダー龍騎』『仮面ライダー響鬼』に参加し、『仮面ライダーファイズ』では全話の脚本を書き下ろした井上敏樹、初の普通小説
 
 
 
ライター志望者は他人事じゃないよ
海の底のピアノ
 
 
 
に触れるつもりだったのに――。 
 
脚本ならともかく小説でこれはいかんだろうと思う表現があったり、誤植や推敲が足りないと思う部分があったり、細かい突っ込み所はあるものの、帯に寄せられた芥川賞受賞作家・川上弘美の評論通り、この小説は「絶望的に、美しい!」
文学と言われるものも書ける人だったから、『鎧武』と違って『アギト』や『ファイズ』は面白かったんだな。 
 
漫画ばっかりで活字を読んだ事もないのに、「ライターになりたい」なんて思っている人は他人事じゃないぞ。
まあ、当業界ではカリスマと言われてるらしい某ライターがアレだから、なれそうな気分になっちゃうのも分かるけどさ。 
人をパチスロに傾倒させるのはともかく、「オレも物書きになれるかも?」なんて幻想まで抱かせてしまう、あの男――本当にバカ製造機だよな?
 
これ以上、バカを増やすのは勘弁して欲しいよ。

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