『スカイ・ロック・ゲート☆』
秋元康はギャンブラーか?
掲載:2013/11/7 11:40
外すと恥ずかしいから逃げ打っちゃったけど、「ひまわり組」だもんなあ、間違いないわ……ブツブツ。
突然ですが、皆さんは俺の事、ギャンブラーだと思ってますか? 思ってませんよね?
1発打たせて20銭、1度叩かせて1.8円、それで利益を得る商売がパチンコ屋。時給・期待値・仕事量――言い方はそれぞれだけど、究極の所、パチンコ屋と同じ事を打ち手の立場で行って利益を得るのがパチプロです。
ゴト師のように非合法なイカサマに手を染めている一部例外もおりますが、そうした例外を除けば、パチプロがパチンコ・パチスロに触れるスタンスはみな同じ。ギャンブルとしてパチンコ・パチスロに触れて、生活している人間など一人もおりません。
いやね、こんな事言うのも、小林よしのりが『じゃんけん大会』のイカサマ疑惑について「ギャンブル好きの秋元康がそんな事するわけないだろう!」と某誌で吠えてたからなんですが、ギャンブルで300人を超す大所帯を食わせて行けるはずがないだろう、と?
そりゃあ、ギャンブルに見えるような策もありますけど、そもそもの『第1回じゃんけん大会』が実験、あるいは読み違いでしょう。
前田敦子センターではない『ヘビーローテーション』が、総選挙投票券を封入した『ポニーテールとシュシュ』より売れちゃったんで、『Beginner』では高橋みなみのサインで毎回センターが変わるような趣向にしてみたら、今度はミリオン達成。
「何だ、誰がセンターでも売れるのか……」と思ったのに、内田眞由美では売れませんでしたってオチ。
業界のタブー、アイドルとして致命的な結果を招きかねない大博打と言われた『総選挙』だって、事前に実験してます。
まり子様がカフェ娘から正規メンバーに抜擢される要因となったものは何でしょう?
劇場が始まった当初から、既に『メンバーの人気投票』という雛形はあって、それでファンとメンバーの反応を確認していたんだと思います。
また、これはNMB48を立ち上げるオーディションの時でしたね。南海キャンディーズの山里亮太に「秋元先生、今度のグループのコンセプトは何ですか?」と尋ねられたのは――。
その際、秋元康は「僕は、デッサンのように鉛筆で薄く線を引くだけでコンセプトとか決めないんですよ」といった事を答えてるんですが、秋元流のプロデュース術というのは、自分が決めたコンセプト、もしくは遊びのルールをいきなり提示したりはしません。
「こういうの良いと思うんだけど、どうだろう?」って所から入るんですね。
どうしてもギャンブラーだと言うなら、玄人や馬券師というより、釘を読み、試打して「行ける」と思った台にだけ手を出すパチプロに近いです。たまに読み違えはあっても、トータルでは期待値プラスの行動を繰り返すから、絶対に負けません。
でね、ずーっと考えていたわけですよ。
『ドラフト会議』はストーリー性の追加という意味で完結しているけど、CDやDVDが売れるわけじゃなし、企画として弱すぎる。
HKT48のレベルを上げようと思った場合、あの小娘共の性格を考えればAKB48・新チーム4と同じセットリストを与えるのは効果的だけど、本当にそれだけなのか?
今回、秋元康が鉛筆で薄く線を引いたデッサンは何を描いているんだろう、と。
自分は同じセットリストで完成度を競わせるという事から競技をイメージしたし、この時期にプロ野球を連想させる『ドラフト会議』というイベントを行っている事で、裏があるんじゃないかと勘繰ったわけですが、さらに考えたら、HKT48で公演を行うチームの呼称が「ひまわり組」だもんねえ……。
AKB48を立ち上げた当初、運営がチームKに「お前たちは2軍だ、いらない存在なんだよ。客が入ってもAのチケットが取れずに来ているだけだ」と焚きつけたために、チームKはAに対抗心を燃やし、ファンまで含めた対立構造になってしまったのは、コアなファンなら誰もが知っている所。
その対立構造を解消するため、秋元康が取った融和策が、チームAとKの混成チーム「ひまわり組」で公演を行う事です。対立していたメンバー同士が、同じステージの上でニコニコしてたら、オタ同士の毒気も抜かれますよね。
ほらほら、あの頃、こんな事があっただろう? 思い出せ、知ってる奴は拡散しろ。チーム毎の対抗戦を観たくはないか? ――そう言われている気がします。
とりあえずね、自分は観たいですよ。もちろん、新チーム4を応援するけど、SKE48とNMB48・チームNのマジが観たい。
おそらく、ファンが乗れば、オフィシャルなルールが開示され、切羽詰まった感のある『じゃんけん大会』に替わるイベントになるでしょう。
セットリストは、各チームのキャプテン(SKE48はリーダー)に選ばせる事になると思います。
なるほど、既存10チーム分の新公演を書き下ろすという線はここに繋がるのか――。
言ってる意味分かりますか? 劇場への動員数やオンデマンド配信の会員増ばかりではなく、推しチームへの投票券を封入したCDは、総選挙投票券を封入したCDに匹敵する枚数を売り上げる可能性があるという事です。
コレクターズアイテムだった、公演曲のCDも売れるようになるな。
いい曲山盛りだ♪
もっとも、ファンが乗らなきゃ自然消滅。レベルの上がったHKT48研究生でチームK4とTを作って、後は新公演の話題性で勝負するだけ。
秋元康の見立てよりファンが成熟しておらず、かつてのようなイザコザを起こしそうなら、「いやだなあ、『ひまわり組』は融和策ですよ。最初から対抗戦なんて意図は無い事を伝えてるじゃないですか」ととぼけて終了。
エンターテインメントはオーディエンスが完成させる、そのオーディエンスに問題があるなら無理だって事ですね。
つくづく、秋元康の策は深く、周到で、面白い。
と言うか、娯楽の王様・パチンコで遊ぶより、秋元康と遊んでいた方が全然楽しいんですけど、どうしたもんでしょうね……。
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+20.5k也。