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【ザッシュ】
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『スカイ・ロック・ゲート☆』
カジノ解禁で壊れる業界
掲載:2013/9/9 10:25

う~む、マタンゴくんは書いてしまいましたか……。

オリンピックが招致されようがされまいが、ねじれ国会解消により今後成立する可能性が高まっていた「カジノ法案」
せっかくの機会なので、自分も書かせてもらう事にしよう。

まずこの件で怖いのは、分かってないのに世間的には有識者と思われている連中が、良識派ぶった発言をしたり、ブチ切れた正論を語りはじめ、それに多くのエンドユーザーが追従する事です。
大体、パチンコなんてものがある国は日本だけだというのに、分かってない日本人が多すぎるよ。

とりあえずね、マタンゴくんは「もっと業界に精通した人がトップになって仕切ってくれることを願います」なんて事を言っちゃダメ。
この業界は、警察庁が不作為責任から逃れるための詭弁という砂の上に乗った城だって事を分かってないでしょ?

まず最初に、日本におけるカジノがどのようなものになるのかから解説するが、「カジノ法案」とは通称で、正確には「IR推進法案」と言う。IRとは統合型リゾートの事である。
つまり、日本におけるカジノは、シンガポールのように「特定複合施設」になるはずなのだ。
カジノだけがポツンと造れるわけではなく、カジノをはじめとしてレジャー施設、国際会議場、展示場、ホテルなど世界から人を集める施設が1カ所に集約的に整備されるイメージなのよ。
「今のパチンコ業界の基盤を使って、その流れで行う」なんて事にはならないので、そこも勘違いしないように。

ただ、カジノ解禁の暁には企業に運営を委託することになるし、現時点で国内にカジノの運営ノウハウをもつ企業は存在しないため、比較的業態の近い当業界の企業が何社か動きを見せているのも事実。
これは何をもくろんでいるのかと言うと、狙いは企業によって様々。
まあ、セガサミーホールディングスや、ダイナムジャパンホールディングスは分かりやすいよね。狙いはオペレーターだから。

ホール運営企業ならともかく、遊技機メーカーがオペレーターなんて意外に思うかもしれないが、よく考えていただきたい。
遊技機メーカーが、ただのメーカーとして参入した所で、日本におけるカジノが前述のような統合型リゾートなら、大して儲からないのよ。
国内に数ヶ所の統合型リゾート施設相手に売れる遊技機の台数など知れたもの。
10万台以上も売れるホール向けの遊技機とは、市場規模が比較にならないでしょ?
だから、オペレーターの座を狙っているというわけ。

でも、仮にダイナムが日本版カジノのオペレーターの座についたとすると、一つ重要な問題が浮上して来る。
すなわち、「同一企業の運営する娯楽施設の一方が合法で、もう一方がグレーゾーンとかおかしくないか?」って話。

当然、「パチンコの換金合法化」という議論が出て来るでしょう。
ここが滅茶苦茶重要で、当業界の命運はこの議論をうやむやに出来るかどうかにかかっていると言っても過言ではない。
そして、ここが冒頭で「もっと業界に精通した人がトップになって仕切ってくれることを願います」なんて事を言っちゃダメだとマタンゴくんを諌めた理由ね。
グレーゾーンがあるからこそ、ホールやメーカー(我々パチンコ生活者も……)が儲かるのだという事を分かっている人では今と何も変わらないので、世間的には「パチンコの換金合法化」というブチ切れた正論を進めようとする分かってない人が業界の改革を進める有識者と認識される事になっちゃうわけよ。
分かってない人が有識者と世間に認識なんかされたら、とんでもない事になるよ。

まず、合法化へは様々な障壁があるが、平等性の確保が最低条件の1つと言われている。
パチンコ機はパチンコホールが釘調整(厳密には違法)で利益をコントロールしているのが現状であり平等とは言えない。
そこで考案されているのが、ECO遊技機(封入式パチンコ機)である。
玉は機械内を循環する仕組みで、封入密閉であることから釘の調整や基板変更が物理的に出来ない。客観的な透明性が確保され、合法化に一歩近づくって事。

ちなみに、遊技機に関する特許を最も多く保有するパチンコメーカーSANKYOは、封入式パチンコ機に関する特許も10年以上前から出願し数多く取得してます。
2012年末時点の全国のパチンコ機設置台数は約300万台。
合法化の流れが加速し、規則改正となれば、パチンコホールは封入式パチンコ機に入れ替えなければならなくなる可能性が高い。
封入式パチンコは1台100万円程度と言われており、300万台すべてが置き換えられると、3兆円規模の金銭がホール側からメーカー側に流れることになる。
もちろん、その資金を負担するのは我々エンドユーザーね。

なお、封入式の多くの特許を有するSANKYOは他社が作った封入式パチンコ機が売れたとしても特許使用料が入ります。
今でも、年間50億円程の特許使用料収入があると言われるSANKYO。
はたして、封入式パチンコ機によって得られる特許使用料はいくらになるのか?
ここが先に「狙いは企業によって様々」と書いた理由。
要するに、SANKYOにとってはカジノ解禁そのものより、それに追従して起こると見込まれる「換金合法化」の方に関心があるわけだね。

また、パチンコ生活者的には換金が合法、すなわちギャンブルと認められた場合に起きるかもしれない「技術介入禁止」が恐ろしい。
今はハウスルールで禁止するホールが増えたけど、パチンコ・パチスロで技術介入出来る理由って分かりますか?
これは、現行法での解釈上、パチンコ・パチスロは「遊技」だからなんですね。
カジノで、カードカウンティングなどの技術介入をしている事がバレたら叩き出されます。
技術介入、もしくは必勝法の行使が、ギャンブルの興を削ぐ無粋な行為に他ならないからです。

……いや、それ以前に封入式パチンコが導入されたら、回転率的にボーダー以下の調整で固定されるから、何をやってもパチンコは勝てないか。
万が一、メーカーの設計ミスで技術介入すれば勝てる台が入って来たとしても、すぐに島閉鎖の後、入れ替えられるだろうし。

ともかく、絶対に勝てない調整が並ぶパチンコ島は、捻り・止め打ちが公明正大に禁止で、パチスロ島で小役カウントなどしようものなら、無粋者として叩き出される。下手したら、小役目押しも問題視されるかもしれない。
もしそうなったら、自分はパチンコ・パチスロに興味などありません。
「リーチ目が!」「演出が!」と熱く語っている先生方は、そうなってもパチンコ・パチスロを熱く語るんでしょうかね?

会社帰りに週3日も寄れば、理論上、月に7万円程の遊技料を支払わねばならない、ただの玉入れ・絵合わせゲームですよ? こういうゲームって、スマホのアプリで十分じゃね?
まあ、ただの遊技台カタログ誌と化す攻略誌や、ギャンブル台の前でタレント気取りの連中がキャーキャー騒ぐ様子を映すだけのCS番組の需要は落ちて、多くの自称ライターや編集者が路頭に迷うのは確実なので、「リーチ目が!」「演出が!」なんて語っていられる人の数自体減ると思いますがね。
自分が常々「君ら本音で語っているのか?」と突っ込む理由はここ。

水清ければ魚棲まずじゃないけど、ブチ切れた正論は世の中を住みにくくするだけだし、グレーゾーンの上に胡座をかいてるくせに、それに気付かず良識派ぶった発言や行動を繰り返すホールやメーカー、各メディアの関係者が業界をブチ壊す。自分には、そんな気がしてなりません。

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