『スカイ・ロック・ゲート☆』
神の所業、求む!
掲載:2013/5/4 13:20
先月、書店では「村上春樹が3年ぶりの新作!」と盛り上がっておりましたが、私的にはこっちです。
ファイブスター物語
9年ぶりに連載再開! 掲載誌・Newtype 5月号は、雑誌として異例の重版、しかも完売。
さらに、その再開した『ファイブスター物語』というのが凄かった。
ネット上には、古くからのファンの悲鳴が轟き、正に阿鼻叫喚。
「アリエネーッ!」って話。
だって、ストーリーの筋は休載以前のものを引き継いでいたけど、作中の用語・設定には大幅な改変が為され、主役メカ・モーターヘッド(MH)など、ゴティックメード(GTM)に全差し替えだもの。
GTM・カイゼリン
GTMは、昨年秋に公開された映画『花の詩女 ゴティックメード』に登場したロボットですが、観た時に疑問だったんですよね。
ドナウ帝国はフィルモア帝国の前身みたいだし、要するにこれは『ファイブスター物語』の過去のお話なんだな、と。
でも、『ファイブスター物語』でゴティックメードという殺戮兵器が言及された事は無いし、モーターヘッドの前身はマシンメサイアのはず。
だったら、この話は『ファイブスター物語』とどう繋がるのだろう?
まさか、それが用語・設定の大改変、主役メカの差し替えという力技だったとは――。
「今までの無―し! アレとか、コレとか、実はこうだったんだよって事にしてしまおう」なんて、正に神の所業です。
作者・永野護は、昨年、評論誌・ユリイカのインタビューで、
「でも、連載が再開したら、また罵詈雑言の嵐になると思うよ。本気で99.9%の読者を失ってもかまわないと思っているから」と発言してるんですが、こういう事だったのかと今更納得してます。
とは言え、ズルイですよね、永野センセ。本気で99.9%の読者を失うなんて思っちゃいないんですよ。
ネット上で騒いでる連中も、あまりの改変にビックリしてるだけで、作品の質が悪くなったと騒いでいるわけじゃありません。
そもそも、大幅な改変が為されたお陰で、既存のものを新たなデザインで見る事が出来るのは、ありがたいの一言のはずですから。
だって、永野護という作家のウリは、比較するものの無い卓越したデザインセンスだもの。
99.9%の読者がついてくると思いますね――いや、逆に増えるかも?
サイレンやバングがどんなデザインで出て来るか、ホント楽しみ。
今の日本で何がアツいって、AKBじゃなければナガノなのだな、うんうん。
ふと、思いました――。
パチもスロも、メーカーが力を入れるのは、パート2ものばかり。
ハネモノだって、完全新規設計の役モノなんか出ないしね。
要は、「コケたら首くくったる!」ぐらいの勢いで作った、新作が出ないからダメなんじゃないの、と?
同じものの焼き直しは、もう沢山ですわ……。