『スカイ・ロック・ゲート☆』
009 RE:CYBORG
掲載:2012/10/29 00:30
天才・石ノ森章太郎の未完の傑作、サイボーグ009。
3年前、1000年に1度の009イヤーで書いた通り、2012年はファンにとって特別な年です。
何故なら、作者がサイボーグ戦士たち最後の戦いの舞台として構想していたのが、2012年だから――。
サイボーグ009 完結編
2012 009 conclusion GOD'S WAR
現在は、故・石ノ森章太郎の遺稿と創作ノートをもとに、小野寺丈による小説が執筆・刊行されております。
石ノ森のチーフアシスタントだった、早瀬マサトによる漫画版の刊行も始まりました。
パチ業界でも、ニューギンから
サイボーグ009 絆が発売されましたが、この2012年という年を意識した仕様にはなっていなかったようです。
どうせなら他のメディアと連携して、青い服に赤マフラーのコスチューム(石ノ森が最終決戦用にデザインしたもの)に身を包んだサイボーグ戦士たちが活躍する演出などを搭載して欲しかったな、と。
まあ、パチンコ・パチスロは難しいですよね。
使用版権の2001年版のアニメでも「2012 009 conclusion GOD'S WAR」のプロローグは描かれているんですが、そこの使用許諾は降りなかったのかもしれませんし、他メディアとの連携を意識して発売時期をミスると、ライバルメーカーに圧されて売れなかったり、稼動が上がらなかったりしますから。
つくづく、
ぱちんこAKB48は凄いプロジェクトだったと思うし、トップメーカーの京楽だからこそ出来た偉業なんだと思います……いや、今回はAKBの話じゃなかった。
アニメ業界でもサイボーグ009作品が作られたので観て来ましたよと、そういう話でした。
009 RE:CYBORG
「攻殻機動隊S.A.C.」の神山健治監督作品です。
実は自分、神山作品って観た事が無いんですよね。視野の隅には入っていたものの、なかなか観るに至らず、今回ようやくの初観賞でした。
で、観た感想ですが、これは……凄く良い!
感メ常連のハマリQ2さんが楽しみにしているようなので、ストーリーに関わる事は書きませんが、近隣に上映館が無いなら、他地域まで交通費かけても観に行く価値ありです。
出来れば3D上映館で観て欲しい。自分は90km先の杜の都まで行きました。
手書きの2D画を3D化した作品は、これまでにも存在しましたが、これは3DCGをトゥーンシェーディングという処理で手書き調にしてるんですね。そのため、この映画の3Dには非常に自然な立体感があります。空中戦での浮遊感とか、たまらんですよ。
その上、肝心の脚本に関しても、文句のつけようがありません。簡単に言うと、もし現代にサイボーグ戦士たちがいたら? という観点から展開するシミュレーションでしたね。
あのキャラクターを、もっと活躍させて欲しかった、みたいな個人毎の要望はあるかもですが、自分は良い脚本だと思いましたよ。
ちなみに自分、最初にキャラクターの設定画を見た時、
「何故、原作風の画でやってくれないんだろう?」と不満だったんですが、このストーリーと3DCGを観てから、このキャラクターじゃなきゃいけなかったんだと納得出来ました。
また、話には原作で未完のままだった「天使編」「神々との闘い編」が絡んで来ます。
「2012 009 conclusion GOD'S WAR」の導入部ですね。
もちろん、原作そのままではなく、ここで描かれる「天使」と「神」は神山監督の解釈によるものなんですが、その解釈は前述した、もし現代にサイボーグ戦士達がいたら? という世界観から浮く事が無いものになってますし、敵の設定としても斬新でした。
余談ながら、もし現代に○○がいたら? というのは「仮面ライダークウガ」の制作手法ですし、神vs人間――父を超える子供たちの物語は石ノ森章太郎が好んだテーマで、ストレートにこのテーマを用いたライダー作品には「仮面ライダーアギト」があります。
だから、この「009 RE:CYBORG」も、間違いなく石ノ森章太郎の遺志を継いだ作品なのでしょう。
ここまでやってくれた上、ラストには原作ファンが実質的な最終回と認識している、あれを想起させるシーンまで出て来るんだから、ホントに言う事ないです。もう1回、観に行きたいと思える作品でした。
●文中敬称略m(_ _)m