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【まっち棒500R】
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『冒険人生。2』
ミニミニ現代パチンコパチスロ小説
掲載:2008/3/22 00:05

【前回までのあらすじ】

職を転々としている「義夫」。
山深いパチンコ店で、平凡な日々を過ごしている。

職場の仲間からは、「カニ男」と、アダ名をつけられ、笑いものにされている。
義夫は、感情を出すことを、すでに忘れているかのように、周りの雑念を一切、耳に入れない。

煩悩に苦しむことすら忘れている、義夫。


ロッキー12号店に勤務している、恋することに悩む青年「信太郎」。その信太郎が思いを寄せるカウンターの女性スタッフ「彩香」。

彩香が思いを寄せている店長の「吉田」。
三人の微妙な関係は・・・


★第四章 「クリスマス島の夜明け」

ジリリリリリッ!!
義夫の枕元で、けたたましく目覚ましが鳴った。

「ふあぁ、何だ・・・もう、お昼か・・・」
義夫は今日、珍しく休みを取っていた。

本当ならば、朝から釣りにでも出かけようと思っていたのだか、不覚にも二度寝をしてしまったようだ。

玄関先には、用意していた釣竿とクーラーボックスがある。
当然、予定変更だ。

「そうだ、たまったメールでもチェックするか・・・」
義夫は、ノートパソコンの電源を入れると、薄暗いカーテンを開けた。

昼間の日差しが強烈に差し込む。
「うぐっ!まぶしぃなぁ!」
義夫は、目を細めると同時に、眉をひそめた。

しばらくすると、目も明るい日差しに慣れ、ようやく日常を取り戻した。

義夫は洗面所に向かい、歯ブラシに歯磨き粉を出し、激しくブラッシングした。
若干、歯槽膿漏気味の赤く滲んだブラッシングの泡が、義夫の口びるの横を伝う。

義夫は軽く口を濯ぎ、パソコンの画面に向った。

メールソフトを起動し、受信メールのチェックをした。
すると、受信件数が50件以上もあった。

「ん?なんだろうな。迷惑メールでも大量に受信したか?」
義夫は、そんなことをつぶやきながら、21/50 22/50 23/50 と受信されていくメールの数を見ていた。

50/50 と全メールの受信を終え、メールボックスを開くと全て、ひとりの差出人から送られていた。

件名:兄貴、帰ってきてくれ。。。
差出人:和弘

用件:入院中の親父が危ない。親父は兄貴をあんな形で、家から出したことに後悔している。
兄貴の気持ちも解るけど、頼むから、親父に会って欲しい。


弟からのメールだった。
義夫は、親父と若い頃、大喧嘩の末、家を飛び出した。

「このバカやろう!!二度と戻ってくるなっ!!!」
父親に罵倒され、義夫は家を追い出された。

家を飛び出して、20年になるか・・・義夫は、感慨ふけった。
その親父が危ない。


義夫は、家を飛び出した。


親父が入院している病院は、知っている。
電車に飛び乗り、新幹線に乗り換え、父親の入院する病院へ、ひた走った。

約5時間をかけ、病院に着いた義夫は、面会受付窓口へ向った。

義夫「あのう、すいません。ここで入院している・・・」
看護婦「あぁ、徳雄さんですね、10日前に亡くなりましたけど・・・ご親戚の方ですか?」

義夫「死んだ?親父が・・・死んだ??」
看護婦「え、えぇ。先日、お通夜も済まされたとお聞きしましたが・・・」

男「ん?あれ??あ・・・」
ふと、義夫の後ろから、男の声がした。

和弘「あ・・・兄貴じゃないかっ!!」
義夫「か・・・和弘!!和弘か!!」

義夫「親父は!!親父はどうしたんだ!!」
和弘「・・・・。父さんは、10日前死んだよ。ガンが肺全体に転移していたんだ。どうすることもできなかった。」

和弘「兄貴は、連絡先教えてくれなかったからな。唯一、メールアドレスだけだったから、連絡しようがなかった。」
「父さんの葬式も終わって、落ち着いたから、病院にお礼を言いに来たんだよ」
義夫「す、すまない・・・」

和弘「いや、いいんだ。俺は兄貴を責めるつもりはない。ただ、父さんは、兄貴にどうしても謝りたかったらしい。」
「兄貴と父さんの間で、何が起きたかは知らない。でも、父さんは、最後まで兄貴の名前をうわ言のように言っていたんだよ。」

義夫「そうか、親父が・・・」

和弘「そうだ、父さんが最後に残した封筒がここにある。兄貴に読んで欲しいと。」

義夫は、封筒を和弘から受け取ると、その場で封を切った。


【義夫へ】
「お前は、今、どこで何をしているのだろうか。」

「20年前、私はお前を勘当した。だが、この手紙を読んでいるということは、お前は戻ってきてくれたことに違いない。」

「20年前のあの日、若いお前達が父親である私に内緒で、結婚をし、子を育てていたことが許せなかった。」

「それを知った私は、お前達の仲を裂き、子を奪ってしまった」

「結果、お前のお嫁さんだった京子さんを、自殺という道に追い込んでしまった」

「私はお前が愛する京子さんを、可愛い孫となるべく子供からは、母親を奪ってしまったのだ」

「理由はどうあれ、私はお前の父親として失格、おじいちゃんとしても失格だったな」

「そろそろ、私は京子さんの元へ行くことになるだろう。」

「すべての償いをそこでするつもりだ」

「お前達の可愛い子供は、和弘へ預けている。あとのことは和弘に聞いて欲しい」

「我が最愛の息子、義夫よ・・・さらばだ」


義夫の手紙を持っている右手が、震えた・・・
そして、とめどなく涙が溢れた・・・


自らの殻に閉じこもっていた「カニ男」は、今日この限りで、大きな海原へ旅発つことを決めた。

インド洋に浮かぶクリスマス島をご存知だろうか。
年に一度、カニが産卵のために、海岸へ移動し、島全土を赤く染める島である。

義夫は、そんなクリスマス島のカニのように、満潮の夜明けを待っていたのだろう。

そして、この旅立ちが義夫にとって、新たな試練になることだろう。


義夫は、亡くした妻と父の魂に、自らの変身を誓うのだった。



・・・・・・続く






※※この小説は、オリジナルです。事実や架空や捏造や自己満足を織り交ぜておりま
す。
織り交ぜておいて言うのも変ですが、実在する名称等とは一切関係ございませ
ん。
ブログで書くことじゃねーよと言われそうですが、まぁまぁまぁ^^;

【書き終えて、自己採点】
もう、話が長くなってしまって、送信が本日ギリギリ・・・
まとめるのは、とっても難しいですね~。


それから、明日の回答の日ですが、都合により、月曜日とさせてください。
先週に続き、回答が遅れますことを、深くお詫び申し上げます。

お詫びメッセージは、土曜日付けで、再度させて頂きますので、ご了承ください。

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