『スカイ・ロック・ゲート☆』
とある飛空士への追憶
掲載:2011/9/26 08:15
お題の作品、読んでみました。
マッドハウス制作の劇場用長編アニメーション映画の原作ですね。
2011年10月1日公開予定。
原作の著者は犬村小六氏です。
書店の特設コーナー
マッドハウスと言えば2006年公開の映画
『時をかける少女』が、当初ミニシアター並の興行規模だったにも関わらず口コミで評判となり、最終的な上映館は100館以上。DVD発売までの9ヶ月に渡る異例のロングラン興行となったのが記憶に残ってます。
そして、この
『とある飛空士への追憶』も2008年にガガガ文庫(小学館)より単発作品として刊行された後、口コミで評判になった作品です。
文庫本の挿絵を担当したイラストレーターさんには悪いんですが、装丁や帯の煽りを読んだだけでは正直手に取る気にはならないですよ。
萌え要素アリな絵柄で
夏の洋上にきらめいた、恋と空戦の物語。
とか煽られても、「うわ~、俺そういうのいらんわ」と……。
新装版
そういった先入観で読者を限定しないための処置か、映画化に合わせて加筆訂正された新装版では挿絵が全て取り去られ、ご覧のような装丁になってます。
ガガガ文庫とかマイナーだし、口コミが無ければ、まず間違いなく埋もれた作品じゃないでしょうか?
パチンコ・パチスロにもこういう作品あると思います。
テレビCMを制作していない上、深夜枠の特撮でパチンコファンへの知名度が低かったにも関わらず大ヒットした初代
牙狼とか、導入後人気が出て、今なお設置店を増やし続ける
モンキーターンとか――。
これらの作品は、本当に面白いからヒットしたんですよね。
いくら前評判が高くても中身が無ければ、あっと言う間に稼動は落ちます。
後に残るのは客が去って閑散としたシマと、償却し切れない機械代だけ……。
もうすぐ節電のための輪番店休も終わりますが、先の広告宣伝規制を受けて、集客手段を狭められたホールの営業は、より新装を主軸にしたものになって行くのではないかという業界人の予想を聞くと恐ろしく感じます。
中身が無い台の新装は一時的な延命処置であり、底の見えない負のスパイラルを落ちて行ってるだけだと誰もが気付いてるはずなんですけどねえ……。
とりあえず、エンドユーザーである我々は何を打って良いか分からないから新台でも――という浅はかな行動を慎みたいものです。
最後に、蛇足ながら
『とある飛空士への追憶』の概要を――。
※以降ネタバレアリです。
舞台は大洋を挟んで、神聖レウ゛ァーム皇国と帝政天ツ上という二つの大国がいがみ合う架空世界。
レウ゛ァームが劣勢となった時期、天ツ上領内にあるレウ゛ァーム自治区サン・マルティリアより未来の皇妃ファナ・デル・モラルを水上偵察機「サンタ・クルス」の後部座席に乗せ、本国まで移送するという極秘計画「海猫作戦」が実行に移される。
敵が制空権を握る1万2000キロの洋上を単機翔破する困難な作戦に挑むのは、デル・モラル空艇騎士団のエース、狩乃シャルル。
流民上がりの傭兵飛空士と未来の皇妃。二人はやがて心を通わせて――。
という話なんですが、とにかく読ませます。
実は敵側に筒抜けだった「海猫作戦」。敵戦闘機「真電」の圧倒的な性能。
どんどん絶望的になって行く状況に、二人の間に横たわるどうにもならない身分の差……。
一体どうやったら、帯の書評にある
「奇跡のように美しいラストシーン!」にたどり着くんだよと?
そう書かれるとハッピーエンドを期待して読んでしまうんですが、どう考えてもなりそうにないわけです。
……なってしまうんですけどね。
いや、本当の意味でハッピーではないのかもしれないけれど二人は幸せだったと思う。
そう感じるラストです。
気になった方は是非読んでみて下さい。
自分は映画も観に行こうかと思いました。
自地区映画館は只今ブッキング中との事で、公開は11月以降になりそうなんですけどね……はは。