『スカイ・ロック・ゲート☆』
タバコ値上げと読書の秋
掲載:2010/9/30 22:15
"彼女"の名はエマノン。
徳間書店刊
ものの書評によると、"日本SF三大美女"の1人に数えられるらしい──。
美女かどうかは各自の判断に委ねるとして、
日本SF史上極めてミステリアスなヒロインの1人である事は間違いない。
長い髪にソバカスが散った顔、編みの荒いセーターに使い古したジーンズ。肩にナップザックをひっかけて、
両切りのタバコをくゆらす姿はミステリアスと評するにほど遠いが、"地球生命進化30億年の記憶"を持つという類い稀な資質は間違いなく日本SF史上屈指である。
「だから──?」と言われても困るが、自地区内ではまともに打つ気にはなれないし、
「もうすぐタバコが値上がりするな~」と思ったら何か憂鬱で、気付いたら本作を読み返していたという訳です。
タバコ値上がり→タバコ→エマノンという単純な連想だったけど、久々に読み返した本作はやっぱり良い。
『黄泉がえり』の作者、梶尾真治の原作を、SF小説等の装丁で知られる絵師、鶴田謙二──当サイトのユーザーには『アベノ橋☆魔法商店街』のキャラクター原案と言った方が良いか──が忠実にコミック化したもので、傷心旅行中の"ぼく"の前にエマノンと名乗る少女が現れて、"地球生命進化30億年の記憶"を持つ自らについてを語りはじめるというストーリー。
「突然、自分の目の前に信じられないほどの美少女が現れて、一緒に馬鹿話しながら旅が出来たらいいなあ」──という作者の妄想がネタらしいが、どうやら自分にもこの気があるらしく、この世界観には思わずハマッちゃいました(笑)。
ウチの奥様には"ミステリアス"なんて形容は似合いませんからね。
「今後、タバコなんて高いものを買ったら、それと同額をあたしに納める事!」──なんて目茶苦茶現実的な事を言われて弱っております。
コイツと結婚したのは、ミステリアスというよりミステークだったかと……(汗)。
ちなみに、エマノンとはnonameの逆さ綴り。
名SF評論家、鏡明の書評に「SFとは名詞で成立する物語である」──なんて文章があったけど、その主人公の名詞がnoneme(名無し)とは何とも人を食った話じゃないですか。
多分、20代よりアラサー~アラフォーの方が共感出来る話だと思うので、興味が湧いた方は読んでみて下さい。
現在、書店での入手は極めて困難なので、ネット通販の利用をおススメします。
以上、敬称略。
m(_ _)m